日本の問題

給油所過疎

九州国際大学非常勤講師
荒田英知 氏

人口減少で過疎化が進む中、そこに住む人々の生活を支える機能にも綻びが見えはじめている。そのひとつが給油所の減少である。給油所は日常生活の足である自家用車への燃料供給に加え、家庭用の灯油なども取り扱い、重要な生活基盤を担ってきた。

ピーク時に全国に約6万あった給油所は現在3万2,000弱と半数近くまで減った。給油所が3カ所以下の市町村は1,718市町村中302に上る。今後も、さらなる人口減などで需要の減少は確実で、事業者の努力だけでの解決は困難といえる。

給油所が廃業を余儀なくされる最大の理由は、数百万円の自己負担が必要になる地下タンクの老朽化対策だ。従来からの国の補助金に加えて、最近では市町村が独自に支援する例も増えている。和歌山県すさみ町のように、町が廃業した給油所を買い取り、町営で再開したケースもある。

資源エネルギー庁も、大型の地下タンクから地上の簡易タンクに切り替え、係員が呼び出しに応じて給油する方式の導入を奨励するようになった。地域に住み続けるには生活インフラの維持が必須。今まで以上の工夫が求められる。

2017年11月13日

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荒田英知 氏

1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2017年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。

荒田(あらた) 英知(ひでとも)氏