日本の問題

電動車シフトで業界は激変

経済ジャーナリスト
大西良雄 氏

中国政府は英・仏に続きガソリン車、ディーゼル車の販売を禁止する方針を決めた。英・仏の場合、禁止の達成年度は2040年と先だが、中国はそれより早く2030年に達成する見通しだという。

世界最大の自動車販売国である中国が化石燃料車の販売禁止方針を決めたことで、電気自動車(EV)など電動車へのシフトの流れがほぼ決定的となり、ガソリン車依存の自動車産業に地殻変動が起こりそうだ。

EVは電気と電池、モーターで動く電化製品だといわれる。参入障壁は低くグーグル、アップル、ダイソンといった異業種からの参入が相次ぐ。ガソリン車では外資に市場を押さえられていた中国の国産勢も政府助成をテコにEV参入を本格化する。

部品産業への影響も大きい。EVの部品点数は約2万点、ガソリン車の約3万点に比べ少ない。EVではエンジンや変速機に代わってリチウムイオン電池や電動モーター、電子制御、通信機器が部品の中核となり、部品構成が電機電子に大きく変化する。

電動車シフトに対応できない完成車・部品メーカーは危機に瀕する可能性が高く、迅速な対応が迫られることになる。

2017年10月16日

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大西良雄 氏

1945年生まれ。
上智大学経済学部卒業後、東洋経済新報社入社。記者を経て、「週刊東洋経済」編集長、取締役出版局長、同営業局長、常務取締役第一編集局長を歴任。2006年に退任後、経済ジャーナリストとして独立。早稲田大学オープンカレッジ講師も務める。

大西(おおにし) 良雄(良雄)氏