日本の問題

ノンリコースローン

富士通総研 主席研究員
米山秀隆 氏

日本の住宅ローンは、返済困難になり、住宅を売却してもなおローンが残る場合、返済する義務があり、最悪、自己破産ということがあり得る。こうしたローンをリコース(遡及型)ローンという。これに対し、住宅を引き渡せば、それが残債以下の価値であっても返済を免れる仕組みがノンリコースローンである。中古住宅が高い価値を持つ住宅市場でなければ実現しにくく、これまで日本では存在しなかった。欧米はノンリコースローンが一般的である。

最近、ミサワホームが開発した仕組みはノンリコース化を実現するものとして注目されている。何らかの理由で手放したくなった場合、移住・住みかえ支援機構(JTI)に土地・建物の権利を移せば、残債の返済を免れるものである。JTIは国の支援を受け、戸建て住宅の賃貸化を促しているが、借り手がつかなくても一定の家賃保証を行っている。最低限その賃料収入を見込める価値のある住宅であることが、ノンリコース化を可能にしている。ただし当該住宅が、JTIの定める性能や立地などの条件を満たしている必要がある。資産価値を保てる住宅であるからこその仕組みである。

2018年2月26日

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米山秀隆 氏

1963年生まれ。
野村総合研究所、富士総合研究所を経て1996年富士通総研。2007~2010年慶応義塾大学グローバルセキュリティ研究所客員研究員も務める。専門は、日本経済、経済政策、住宅・土地政策。
【富士通総研・研究員紹介】

米山(よねやま) 秀隆(ひでたか)氏