日本の問題

地方消費税

九州国際大学非常勤講師
荒田英知 氏

昨年末に決まった2018年度の税制改正大綱で、消費税のうち都道府県の税収となる地方消費税の配分ルールが見直されることになった。大都市と地方の税収格差を是正するのがその主旨である。

現在、税率8%の消費税のうち1.7%は都道府県にまわる仕組みになっている。これが地方消費税だ。配分に際しては、都道府県ごとの消費額のウエイトが75%を占めていた。今回、これを50%に引き下げ、17.5%だった人口比率を50%まで高める。

これにより何が変わるのか。地方在住の人が県境をまたいで大都市で買い物をした場合に、これまでと比べ消費地よりも居住地により多くの税収が配分されることになる。東京、大阪、北海道、広島、福岡の5都道府県で減収となり、他の42府県では増収と試算されている。

最大の減収が見込まれる東京都は「大都市からの収奪は不合理」と反発したが、政府与党に寄り切られた。一方で税収が増える府県も手放しでは喜べない。地方消費税収が増えた分、国からの地方交付税が減るからだ。都市と地方の税収格差是正は一筋縄ではいかない。

2018年1月9日

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荒田英知 氏

1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2017年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。

荒田(あらた) 英知(ひでとも)氏