日本の問題

次期日銀総裁は?

青山学院大学特別招聘教授、元財務官
榊原英資氏

日本銀行の黒田東彦総裁が今年4月に任期切れを迎える。次の日銀総裁について、新聞各紙などのメディアの情報によると、黒田氏再任の見方が最有力だ。黒田氏を任命したのは安倍内閣だが、安倍首相が今年、自民党総裁に再任されて首相を続投する可能性が高く、その安倍首相の信頼が厚い黒田氏が続投するという見立てだ。

ただ、戦後2期10年務めた総裁はいない。一萬田尚登氏と山際正道氏の2人が2期目を務めているが、いずれも8年余で勇退している。また、かつては日銀と財務省(旧大蔵省)の出身者が交互に日銀総裁に就任するという暗黙のルールもあった。大蔵省出身の森永貞一郎氏→日銀出身の前川春雄氏→大蔵省出身の澄田智氏→日銀出身の三重野康氏といった具合だ。このルールに従えば、財務省出身の黒田氏の後継は日銀出身者ということになる。

今回は黒田氏再任の可能性が高いが、一萬田氏、山際氏のように、任期途中で退任し、日銀出身者を後継人に指名する可能性もあるのではないだろうか。その場合も様々な見方があるが、私は現理事の雨宮正佳氏が最有力だと思っている。

2018年2月19日

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榊原英資 さかきばらえいすけ氏

1941年生まれ。
1965年大蔵省(現財務省)入省。東海財務局長、大臣官房審議官(国際金融局担当)、国際金融局次長、国際金融局長を経て1997~1999年財務官。現在は青山学院大学特別招聘教授、財団法人インド経済研究所理事長。
【財団法人インド経済研究所HP】

榊原英資氏