日本の問題

住みたい田舎

九州国際大学非常勤講師
荒田英知 氏

2018年版の「住みたい田舎ベストランキング」が発表された。『田舎暮らしの本』(宝島社)が2013年から行っているものだ。今回から、田舎志向の人向きの人口10万人未満の市町村を対象とした「小さなまちランキング」と、都市的利便性もある人口10万人以上の「大きなまちランキング」に分かれたのが特徴である。

194項目のアンケートに回答した671自治体のうち、「小さなまち」では山梨県北杜市が総合1位。部門別で若者世代は大分県臼杵市、子育て世代は茨城県常陸太田市、シニア世代は長野県辰野町が1位となった。「大きなまち」では、福岡県北九州市が総合部門とシニア世代で、若者世代は栃木県栃木市、子育て世代は福岡県糸島市がそれぞれトップになった。

東日本大震災以降、若い世代を中心に大都市住民の田舎暮らし志向が増している。地方の自治体側も、受け入れに積極的に取り組む例が増えた。日本全体でみればゼロサムゲームという意見もあるが、過疎地では数組の移住者がコミュニティを維持する大きな力になる。ランキングをヒントに自治体間の切磋琢磨を期待したい。

2018年2月5日

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荒田英知 氏

1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2017年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。

荒田(あらた) 英知(ひでとも)氏