日本の問題

東京一極集中

九州国際大学非常勤講師
荒田英知 氏

東京への人口集中に歯止めがかからない。総務省が発表した2017年の人口移動調査によると、東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)への転入者数約48万人に対し転出は約36万人で、約12万人の転入超過となった。転入超過は22年連続である。

大阪圏(大阪・兵庫・京都・奈良)と名古屋圏(愛知・岐阜・三重)はいずれも5年前から転出超過になっており、東京圏への人口の一極集中が鮮明化している。

東京圏への転入者を年齢別にみると、若者世代が多く、大学進学と就職がきっかけになっていることがわかる。また、約12万人の転入超過のうち、6万人以上を東京23区が占める。東京の過剰な吸引力は地方の衰退に拍車をかけてしまう。

政府は、2020年に東京圏と地方の転出入を均衡させることを地方創生の基本目標に掲げている。そのために東京23区にある大学の定員増抑制や、若者の地方移住の促進に取り組んでいるが、焼け石に水と言わざるを得ない状況だ。

東京集中を本気で変えようとするなら、明治以来続いてきた中央集権型社会システムを問い直す必要があろう。

2018年3月5日

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荒田英知 氏

1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2017年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。

荒田(あらた) 英知(ひでとも)氏