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進退かけて臨んだ初場所
苦労人横綱、鮮やかに復活

スポーツライター
石川 哲也 氏

大相撲初場所は横綱・照ノ富士が優勝。自身9度目となる賜杯を手にした。

前2場所を全休し、進退をかけて臨んだ照ノ富士は2日目と7日目に星を落としたが、尻上がりに調子を上げて中日から8連勝。優勝決定戦では13勝2敗で並んでいた若手成長株の関脇・琴ノ若を寄り切りで下し、勝鬨をあげた。

深々と四方に礼をして臨んだ優勝インタビューでは「素直に嬉しい。けがが良くならなくて休場が続いていたんですけど、心だけは折れないように日々頑張ってきた」と心境を吐露。腰の故障についても「病気と違ってけがは痛いだけ。乗り越えられて良かった」と笑顔を見せた。

初土俵からわずか25場所で大関に昇進しながら、ひざの故障に加え糖尿病や腎臓結石を患い、一時は序二段まで転落。そこから這い上がり、最高位まで昇りつめた苦労人が目標に掲げる幕内優勝10回はもうすぐ。"史上最大の復活劇"にはまだまだ続きがある。

2024年2月13日

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石川哲也氏

1977年神奈川県生まれ。
野球を中心にスポーツの歴史や記録に関する取材、執筆をライフワークとする。著書に『歴史ポケットスポーツ新聞 野球』(大空出版)、『メジャーリーグ「大記録」への挑戦』(宝島社)など。