記者会見で流した涙
松田瑞生はもっと強くなる
スポーツライター
酒井 政人 氏
酒井 政人 氏
3月8日の名古屋ウィメンズマラソンは一山麻緒が2時間20分29秒で歓喜のゴールに飛び込んだ。その瞬間、松田瑞生の戦いが終わった。つかみかけた夢のキップを失ってからわずか4日後、福島県郡山市内で行われた東京五輪代表記者会見に松田の姿があった。大阪薫英女学院高時代の1年後輩である前田穂南、名古屋で快走した一山ら五輪内定者とともに登壇。補欠の松田にもマイクが向けられた。
今後の目標を問われた時だ。これまで押し殺していた感情が堰を切った。
「正直なところ、まだ気持ちの整理がついていないので…」と声を絞り出すと、大粒の涙がこぼれ落ちた。「再スタートを切れるぐらい気持ちを整理し、しっかり体を整えてからまたチャレンジしたいと思います」
小さな声に大きな決意が込められていた。ライバルたちの前で見せた"悔し涙"が24歳の松田をさらに強くする。
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1977年生まれ。
箱根駅伝を目指し、東京農業大学に進学。1年時に同駅伝10区に出場。卒業後からライター活動を開始。著書に「箱根駅伝ノート」「東京五輪マラソンで日本がメダルを取るために必要なこと」など。