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日本最速スプリンターが
2019年シーズン好発進

スポーツライター
酒井 政人 氏

17歳の春に100mで10秒01というタイムを刻んで、桐生祥秀(日本生命)の人生は大きく変わった。走るたびにメディアの注目を集めるようになる。

良い時も悪い時も。待望の瞬間に到達したのは21歳の夏だった。9秒98の日本記録を樹立した。しかし、歓喜は次なる試練への始まりだった。

社会人となった昨季の最高タイムは10秒10。日本選手権で3位に沈むなど苦しい1年を過ごした。23歳で迎える新シーズンはブリスベンの競技会(3月)で1 0秒08をマーク。200mは6年ぶりの自己ベストとなる20秒39で走破して、ともに今秋のドーハ世界選手権の参加標準記録を突破した。「9秒台で僕の陸上人生が終わりではなく、ようやく世界のスタートラインに立てた。これからは世界のファイナルを目指して取り組んでいきたい」

日本選手初の9秒台を刻んだ日に発した言葉に〝現実感〟が漂ってきた。

2019年4月15日

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酒井 政人

1977年生まれ。
箱根駅伝を目指し、東京農業大学に進学。1年時に同駅伝10区に出場。卒業後からライター活動を開始。著書に「箱根駅伝ノート」「東京五輪マラソンで日本がメダルを取るために必要なこと」など。