的確な判断で2段階スパート
MGCを制した中村の勝負勘
スポーツライター
酒井 政人 氏
酒井 政人 氏
東京五輪マラソンの日本代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」の男子はゴール直前まで大混戦。大迫傑、服部勇馬とのラスト勝負を制したのは中村匠吾だった。37km付近で嘔吐するも、残り3kmでペースアップ。40.9km付近で大迫に並ばれるが、中村はまだ力をためていた。
「前日の試走でラスト800mの上り坂が間違いなくポイントになると考えていました。うまく余力を残しながら、最後の上りで仕かけました」と中村。残り1kmを切り、短い上り坂で大迫を突き放して東京五輪を引き寄せた。
設楽悠太の大胆な逃げもあり、今大会は序盤からペースが安定しなかった。その中で「激流を流れる木の葉のごとくレースを進めなさい」という高校時代の恩師の言葉を胸に刻み、中村は冷静に走り、勝負どころまで動かない。最後は的確な判断と緻密なスパートで"日本一"を勝ち取った。
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1977年生まれ。
箱根駅伝を目指し、東京農業大学に進学。1年時に同駅伝10区に出場。卒業後からライター活動を開始。著書に「箱根駅伝ノート」「東京五輪マラソンで日本がメダルを取るために必要なこと」など。