スポナビ

日本選手初の12秒台
進化する「ママさんハードラー」

スポーツライター
石川 哲也 氏

9月1日、陸上女子100mハードルで寺田明日香(パソナグループ)が12秒97の日本新記録をマーク。この種目の日本選手で初めて13秒の壁を破った。

29歳の寺田は2008年から日本選手権に3連覇した実力者だが、2013年に一度、現役を引退。結婚、出産、7人制ラグビーへの転向を経て、今季6年ぶりに陸上競技に復帰した。夫と娘の協力を得てのトレーニングは家事、育児の合間を縫い週4日ほど。限られた練習時間での新記録達成に「ママでも進化できることを証明できてうれしい」と笑顔。女性アスリートが競技を続けるうえで、結婚や出産がネガティブに捉えられることもあるが「家族で頑張れる。プラスしかない」と言い切る。

次の目標は「娘に東京五輪に出ているところを見せること」。五輪参加標準記録の12秒84まであともう一息。愛する家族の声援を受け、「ママさんハードラー」は進化し続ける。

2019年9月17日

過去記事一覧

石川哲也氏

1977年神奈川県生まれ。
野球を中心にスポーツの歴史や記録に関する取材、執筆をライフワークとする。著書に「歴史ポケットスポーツ新聞 野球」(大空出版)、「メジャーリーグ大記録への挑戦」(宝島社)など。