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創価大・嶋津の激走に沸いた
箱根駅伝10区のドラマ

スポーツライター
酒井 政人 氏

正月に行われた箱根駅伝。3年ぶりの出場となった創価大は9区終了時で10位の中央学院大に55秒差をつけられていた。10位以内に与えられる「シード権」は絶望的かと思われたが、アンカー嶋津雄大が“奇跡”を起こす。果敢に攻め込むと、9.5kmで逆転。さらに東洋大もかわして9位でゴールに飛び込んだのだ。嶋津は区間記録を13年ぶりに更新して区間賞を獲得した。

創価大のヒーローになった嶋津は生まれつき「網膜色素変性症」という目の病気で、暗い場所が見えにくい。早朝や夕方の練習では、他の選手とは異なり、体育館の中を走り込むこともあるという。そんなハンディキャップを乗り越えての快走だった。

「同じような病気を抱える人に、希望を与える走りを見せることができて良かった。障がいのある方でも勇気ある一歩を踏み出してほしいなと思っています」と自身の走りに胸を張った。

2020年1月27日

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酒井 政人

1977年生まれ。
箱根駅伝を目指し、東京農業大学に進学。1年時に同駅伝10区に出場。卒業後からライター活動を開始。著書に「箱根駅伝ノート」「東京五輪マラソンで日本がメダルを取るために必要なこと」など。