スポナビ

4回転アクセルに挑んだ羽生結弦
五輪V3逃すも歴史に名を刻む

スポーツライター
石川 哲也 氏

2月に行われた北京五輪のフィギュアスケート男子シングル。五輪2連覇中の羽生結弦が前人未到の4回転アクセル(4回転半ジャンプ)に挑んだ。

8位からの巻き返しを図ったフリー。表彰台を狙うなら、無難に演技をまとめることもできた。しかし、羽生は子どものころからの夢で、競技生活の集大成と位置づけてきた大技にこだわった。

演技冒頭のジャンプ、前向きに踏みきって高く舞いあがり、体を回転。しかし、片足で着氷できずに転倒―。

「今までで一番いいアクセルが跳べた。あれが(現時点での)僕のすべて。報われない努力だったかもしれないけど」

だが、採点では回転不足との判定ながらも、国際スケート連盟公認大会で初となる4回転アクセルが認定された。

羽生の最終成績はメダルに届かず4位。3連覇はならなかった。それでも「絶対王者」はフィギュアの歴史に新たな一歩を刻み、五輪のリンクを後にした。

2022年3月22日

過去記事一覧

石川哲也氏

1977年神奈川県生まれ。
野球を中心にスポーツの歴史や記録に関する取材、執筆をライフワークとする。著書に『歴史ポケットスポーツ新聞 野球』(大空出版)、『メジャーリーグ「大記録」への挑戦』(宝島社)など。