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観戦者に勇気をもたらした
"絶対王者"羽生結弦の快勝

スポーツライター
石川 哲也 氏

暮れに開かれた第89回全日本フィギュアスケート選手権。男子シングルの羽生結弦(ANA)が合計319.36点の高得点をたたき出して優勝を飾った。

喘息の持病を持つ羽生は新型コロナウイルス感染予防のためグランプリシリーズを欠場し10カ月ぶりの実戦。練習拠点のカナダに渡航できず、コーチも不在という厳しい練習環境にあったが、ショート、フリーとも新たに作り上げたプログラムを、ほぼノーミスで演じきった。「練習してきたことを信じて、自分の身体の感覚を信じてやりきれた」。

そして「今、この世の中は戦わないといけないことがたくさんありますが、皆さんの中に戦いに向かう芯みたいなものが見えたら良かったなと思います」とも。

これまでも故郷の震災や競技生活を阻む大けがなど様々な困難を克服し結果を出してきた"絶対王者"。先の見えない新型コロナ禍の中、見ている人に勇気をもたらす勝利になった。

2021年1月25日

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石川哲也氏

1977年神奈川県生まれ。
野球を中心にスポーツの歴史や記録に関する取材、執筆をライフワークとする。著書に『歴史ポケットスポーツ新聞 野球』(大空出版)、『メジャーリーグ「大記録」への挑戦』(宝島社)など。