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高校球児たちの特別な夏
その1球が青春の思い出になる

スポーツライター
酒井 政人 氏

8月10日から「甲子園高校野球交流試合」が開催された。夏の甲子園は例年、休養日を除く14日間で全48試合を行うが、今回は6日間で全16試合。中止になった今春の選抜高校野球代表に選出されていた32校が1試合ずつ戦った。新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、スタンドに入れるのは部員と家族だけ。応援団や吹奏楽部の姿はなく、大歓声も聞こえない。それでも球児たちの夏は熱かった。

大会第3日に登場した中京大中京(愛知)は最速154キロを誇る右腕の高橋宏斗が延長10回149球を投げ抜き、智辯学園(奈良)に4-3で勝利した。

「6回くらいからきつかったけど、エースとして投げきらないと勝てないと思っていた。無敗で終われてうれしいです」と高橋は笑顔で甲子園を後にした。敗れた智辯学園を含め、すべての高校球児にとって2020年の"短い夏"は一生の思い出になったことだろう。

2020年8月24日

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酒井 政人

1977年生まれ。
箱根駅伝を目指し、東京農業大学に進学。1年時に同駅伝10区に出場。卒業後からライター活動を開始。著書に『箱根駅伝ノート』『東京五輪マラソンで日本がメダルを取るために必要なこと』など。