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両大腿部疲労骨折からの復活V
ライバルに負け続けた男の意地

スポーツライター
酒井 政人 氏

昨年12月の日本選手権10000mで従来の日本記録を上回りながらも相澤晃選手に惜敗した伊藤達彦選手が5月の日本選手権10000mで"ミラクルV"を決めた。今年元日の全日本実業団対抗駅伝競走大会で両大腿部を疲労骨折。一時は東京五輪をあきらめかけた伊藤選手だが、2カ月足らずで勝負の世界に戻ってきた。レースでは圧巻のスパートを披露し、残り700m付近から後続を6秒以上も引き離す完勝レースで東京五輪代表内定を勝ち取った。

「ライバル視している相澤選手が先に東京五輪を決めたので、今回は『絶対に決めてやる』という意気込みで臨みました。東京五輪は相澤選手に絶対に負けたくありません。持ち味であるがむしゃらな走りをして、トラックでは勝負できないという、日本選手の常識を覆したいと思います」

相澤選手に負け続けてきた男の意地が東京五輪で爆発するか、要注目だ。

2021年6月7日

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酒井 政人

1977年生まれ。
箱根駅伝を目指し、東京農業大学に進学。1年時に同駅伝10区に出場。卒業後からライター活動を開始。著書に『箱根駅伝ノート』『東京五輪マラソンで日本がメダルを取るために必要なこと』など。