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1横綱2大関を撃破し初の賜杯
目を覚ました「眠れる大器」

スポーツライター
石川 哲也 氏

7月の大相撲名古屋場所。前頭2枚目の逸ノ城が初の賜杯を手にした。

逸ノ城といえば巨体を生かし、力でねじ伏せる相撲が持ち味。今場所は持病の腰痛が癒えたこともあり、立ち合いの鋭さが増し、初日から6連勝。7日目から2連敗したが、「考えすぎず、気持ちを切り替えて相撲に集中した」。

格下とあたると、相手の力量に合わせた相撲を取ってしまうのが弱点とされてきたが、序盤に上位陣と対戦し、平幕勢との対戦が続いた終盤戦も攻めの姿勢は衰えなかった。

終わってみれば12勝3敗、1横綱2大関を破り、堂々の優勝となった。

「いつか優勝できると信じてやってきた。これからは三役、大関を目指して頑張っていきたい」

新入幕でいきなり13勝して旋風を巻き起こしたのは2014年秋場所(9月場所)のことだった。あれから8年、ようやく「眠れる大器」が目を覚ました。

2022年8月22日

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石川哲也氏

1977年神奈川県生まれ。
野球を中心にスポーツの歴史や記録に関する取材、執筆をライフワークとする。著書に『歴史ポケットスポーツ新聞 野球』(大空出版)、『メジャーリーグ「大記録」への挑戦』(宝島社)など。