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心技体一新の阿炎
巴戦制し悲願の初賜杯

スポーツライター
石川 哲也 氏

角界の1 年を締めくくる大相撲九州場所は千秋楽までもつれ込む大混戦となり、西前頭9枚目の阿炎 (あび) が大関の貴景勝、東前頭筆頭の高安との巴戦を制して初優勝を果たした。

28年ぶりとなった、3人の相星力士による巴戦での優勝決定戦。優勝は連勝が条件となるが、本割で勝って首位に並び、勢いに乗った阿炎が番付で上回る相手を立て続けに退けて一気に勝負を決めた。

勝因は「星を考えず一番集中で取ったこと」。今場所は休場明けで状態が万全ではなく、勝敗より内容にこだわったことが実を結んだ。

2020年には新型コロナウイルス関連の規則違反で処分を受け、土俵外で世間を騒がせたが、「もっと力強い相撲が取れるようになりたい」と心を入れ替え、稽古に打ち込んだ末の賜杯。心技体を一新した阿炎が群雄の割拠する角界に旋風を巻き起こしそうだ。

2022年12月12日

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石川哲也氏

1977年神奈川県生まれ。
野球を中心にスポーツの歴史や記録に関する取材、執筆をライフワークとする。著書に『歴史ポケットスポーツ新聞 野球』(大空出版)、『メジャーリーグ「大記録」への挑戦』(宝島社)など。