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夏の甲子園で仙台育英が初優勝
5人の投手がつないだ"新常識"

スポーツライター
酒井 政人 氏

深紅の大優勝旗が初めて白河の関を超えた。この夏の甲子園を制した宮城県の仙台育英。「青春ってすごく密なので」という須江航監督の涙ながらの言葉が印象的だったが、全国大会での戦い方もインパクトがあった。全5試合を5人もの投手で継投したからだ。

決勝を先発した斎藤蓉が213球、胴上げ投手となった高橋煌稀が188球、背番号「1」の古川翼が124球。さらに湯田統真が122球、仁田陽翔が81球を投げた。チーム内に140キロ以上の速球を持つ選手が10人以上いるというから驚きだ。高校野球はエースの酷使が問題視されてきたが、複数の投手で継投することを前提にチームづくりをしてきた結果といえるだろう。

また、ベンチ入り18人中16人の出身中学が東北で、9人が宮城県内。全国から有望選手をかき集めているわけではない。令和に誕生した新王者が高校野球の"常識"を変えるかもしれない。

2022年9月5日

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酒井 政人

1977年生まれ。
箱根駅伝を目指し、東京農業大学に進学。1年時に同駅伝10区に出場。卒業後からライター活動を開始。著書に『箱根駅伝ノート』『東京五輪マラソンで日本がメダルを取るために必要なこと』など。