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偉大な叔父の背中を追いかける
関脇・豊昇龍が混戦制して初賜杯

スポーツライター
石川 哲也 氏

千秋楽で3力士が3敗で並ぶ混戦となった7月の大相撲名古屋場所は関脇・豊昇龍 (ほうしょうりゅう) が初優勝を果たした。

12日目までに3敗を喫し、優勝に黄信号が灯ったが、ここから叔父である元横綱・朝青龍ゆずりの負けん気の強さを発揮。14日目には若元春との関脇対決を制し、千秋楽は3敗で並ぶ伯桜鵬 (はくおうほう) を本割で下し、優勝決定戦でも北勝富士を破って賜杯をつかんだ。

土俵上では鬼の形相で相手をにらみつけるこわもてで知られるが、優勝後は目に光るものがあった。「(涙が)出ちゃったですね。すごくうれしくて、我慢していたんですけど止まらなかったです」

初土俵から33場所目での優勝は、24場所目の朝青龍に及ばないものの、年6場所制後9番目のスピード記録。「叔父は子どもの頃からの憧れ。同じところまではいかないかもしれないけど、近づきたい」。大関昇進を決めた24歳。偉大な叔父の背中を追いかける。

2023年8月7日

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石川哲也氏

1977年神奈川県生まれ。
野球を中心にスポーツの歴史や記録に関する取材、執筆をライフワークとする。著書に『歴史ポケットスポーツ新聞 野球』(大空出版)、『メジャーリーグ「大記録」への挑戦』(宝島社)など。