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日本一を引き寄せた
若き猛虎のクラッチヒッター

スポーツライター
石川 哲也 氏

短期決戦の日本シリーズを制するには勝ち運を呼び込むラッキーボーイがつきもの。阪神対オリックスの関西対決に湧いた今年の日本シリーズから選ぶなら阪神のルーキー森下翔太になるだろう。

初戦から3番に座った森下は第2戦まで9打数1安打と打棒が湿っていたが、第3戦、第4戦とタイムリーを放ち調子を上げると、2勝2敗のタイで迎えた第5戦は終盤の8回に値千金の逆転2点タイムリー2塁打、日本一を決める第7戦でも2本のタイムリーを放ち3打点。シリーズ7打点は新人最多記録となった。

「息をのむような試合ばかりできつかったけど、最後は報われて良かった」

好機で打順が回ってくるのは「持っている」証であり、そこで結果を出せるのは勝負に強い「クラッチヒッター」だからこそ。大学ナンバーワンスラッガーのふれこみでプロ入りしたドラフト1位ルーキーが強運と実力を遺憾なく発揮し、38年ぶりとなる日本一を大きく後押しした。

2023年12月4日

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石川哲也氏

1977年神奈川県生まれ。
野球を中心にスポーツの歴史や記録に関する取材、執筆をライフワークとする。著書に『歴史ポケットスポーツ新聞 野球』(大空出版)、『メジャーリーグ「大記録」への挑戦』(宝島社)など。