飛躍の源泉

新たな「水」のシステムを提供

立教大学名誉教授
山口 義行 氏

自然災害が多い日本。防災意識が高まる中、「水」の防災で注目されている企業がある。大阪府吹田市に本社を置くアクアテクノシステムソリューションズ株式会社だ。井戸を利用した自社水源による非常用水源の確保、水質の向上、そしてコストダウンを提案する。

井戸による自家水道を提供する会社は珍しくはない。しかし、多くの場合、導入に数千万円の設備を買い上げねばならず、この初期投資費用にメンテナンス費用、管理の手間まで考えると導入しやすいとは言いがたい。そこで、同社代表取締役の新宅和彦氏が選択したのが、従量課金方式。井戸の掘削や設備工事、その後の運営まですべてを同社が負担し、顧客は実際に使用した水量に応じて料金を支払うだけ。顧客はリスクを負うことなく、水のコストダウンと防災対策を享受できる。

一方、同社は長年のノウハウを生かして水処理プラントを管理、長持ちさせる事業でも収益性を上げている。10年の契約が満了した顧客のほぼ100%が契約を更新している。

設備を「売る」のではなく、使う側に立って「新しいシステム」を提供することで、顧客に「利益」と「安心」を同時に提供する。それこそが今求められるソリューション・ビジネスの新たな「モデル」なのかもしれない。

2018年1月29日

アクアテクノシステムソリューションズ株式会社 :

大阪府吹田市春日1-4-13
【アクアテクノシステムソリューションズ株式会社 HP】

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山口義行(やまぐちよしゆき)氏

1951年愛知県生まれ。
2001年に立教大学経済学部教授に就任。2017年4月から名誉教授。外務省参与として中小企業の海外展開、関東経済産業局「新連携支援」政策の事業評価委員長として中小企業連携支援にかかわるほか、企業経営者との勉強会を全国で開催するなど、自ら中小企業支援を積極的に展開。
【山口義行・公式HP】

山口義行氏