医療検査用ポンプで躍進
東京経済大学経営学部准教授
山本 聡 氏
山本 聡 氏
東京・多摩地域の福生市にある従業員25人の有限会社アットモルは代表取締役社長の斎藤利徳氏が2003年に創業。精密機器・電気機器を開発・製作し、その主力製品のひとつが医療検査機器のマイクロポンプだ。
大手精密機器企業の研究所に勤務し、技術開発に従事していた斎藤氏は、自らの開発成果を基に社内ベンチャーの立ち上げを企図したが、同社の経営環境の悪化から頓挫。斎藤氏は、当時の上司とともに起業した。
大手自動車企業向けに特殊なポンプを開発・製造し、納品していたが、事業は軌道に乗らず、斎藤氏は再び独立し、アットモルを起業。同時期に、医薬関連企業から医療検査機器のマイクロポンプの開発・製作を打診された。
医療における血液などの検査では「いつでも同じ分量を測れる」という高再現性が必須。しかし、そこに用いられるポンプの個体差により、送液の分量にわずかな誤差が生じ、それが検査結果に影響を与えてしまう。
斎藤氏は手作業による高精度な研磨加工から部品を製作することで、この問題を克服したマイクロポンプを完成させた。現在、アットモルは欧州の医療機器企業にマイクロポンプを供給し、中国市場にも輸出している。まさに「多摩の小さな巨人」なのである。
2016年9月5日
有限会社アットモル :
東京都福生市熊川1692-30
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(2016年8月29日)
1978年生まれ。
機械振興協会経済研究所を経て、2012年東京経済大学経営学部専任講師として着任、2015年准教授(担当は中小企業経営論)。金型や部品加工など素形材産業を主な対象としながら、国内外の中小企業の経営体制の変化を解明することが研究テーマ。経営者や技術者向けにレポートを執筆するほか、さまざまなセミナー講師も務める。
【山本聡の研究室】