経営資源の集中で新市場創造
鮮度が落ちないヤマサ醤油の「鮮度の一滴」の容器開発で注目を浴びる企業が、新潟県三条市の株式会社悠心だ。中小機構の販路支援先でもある、ファブレス(工場を持たない)メーカーの同社。フィルム容器メーカーを経て独立した代表取締役社長の二瀬克規氏は、日本の食に欠かせないしょうゆに着目し、特殊なフィルム弁により空気の侵入を防ぐ「パウチ・イン・ディスペンサー(PID)」容器と充填装置を商品化した。
これがヤマサに採用され、「鮮度の一滴」はヒット商品となる。その後、顧客との信頼関係を築きながら、用途とともに取引拡大を進めるそのビジネスモデルには、いくつかのヒントをみることができる。1点は、容器と充填機を一貫して提案するユニット販売とメンテナンス需要による利益化。もう1点は、ファブレスの強みを生かした、新たなニーズ、トレンドへのスピーディな対応である。
現在、地方にいながら積極的に情報を発信し、次の市場の調査につながる営業を自ら担う二瀬氏は「ベンチャー企業もリソース(経営資源)を一点に集中すれば、大手に負けない開発ができる」と言う。PIDは経済産業省の「新市場創造型標準化」のテーマにも決定し、その視線は世界の食卓に向けられている。
2016年2月15日
株式会社悠心 :
新潟県三条市柳川新田964
【株式会社悠心 HP】
- ライバルとの連携で飛躍
(2015年4月6日) - 人とつながる「縁」農活動
(2015年4月13日) - 「夢」をスタートさせるビジネス
(2015年4月20日) - 「食事の楽しさ」をデザイン
(2015年4月27日) - 事業連携の第一歩は気づきと想像力
(2015年5月4日) - 赤レンガ復元をブランドに
(2015年5月11日) - ブランド創りのカギは「やせがまん」
(2015年5月18日) - 地域から必要とされる
(2015年5月25日) - 「選択」の楽しさを提供
(2015年6月1日) - 身近な缶は、実はエコロジー商品
(2015年6月8日) - 日本の住宅産業を変える
(2015年6月15日) - 印刷業から出版の新市場を創造
(2015年6月22日) - 23区唯一の造り酒屋は大人気
(2015年6月29日) - 新規事業は足元から
(2015年7月6日) - 酒造りは良縁を醸すサービス業
(2015年7月13日) - 自前の超精密技術で、新事業展開
(2015年7月20日) - 隣接異業種への挑戦
(2015年7月27日) - がんばれ、日本の鋳物産業
(2015年8月3日) - 養豚経営のあり方を模索
(2015年8月10日) - 世界へ飛躍するデザイン力
(2015年8月17日) - 「こだわり」こそ武器
(2015年8月24日) - 自社の価値と位置を再認識
(2015年8月31日) - ママたちが「HAPPYに楽しむ」
(2015年9月7日) - 「課題解決」による顧客創造
(2015年9月14日) - 革新を続ける伝統企業
(2015年9月21日) - 中小企業が市場を創る
(2015年9月28日) - 鈴鹿から世界へ挑戦
(2015年10月5日) - 本場仕込みのヤギチーズ
(2015年10月12日) - こだわりの技術で市場を開拓
(2015年10月19日) - 100年マンションの実現を
(2015年10月26日) - 地域の資源をつなぐ
(2015年11月2日) - 挑戦を続ける最先端企業
(2015年11月9日) - メリヤスの草履が世界へ飛翔
(2015年11月16日) - アイデア銭湯
(2015年11月23日) - 着物を海外へ
(2015年11月30日) - 超硬金型を武器にタイで展開
(2015年12月7日) - ロボット技術で自立への道
(2015年12月14日) - 成長の秘訣は「捨てること」
(2015年12月21日) - 未来の糧の種をまく
(2015年12月28日)
- 伝統技術とデザイン力で世界へ
(2016年1月4日) - 時間を買ってもらう
(2016年1月11日) - 自動車から医療機器への参入
(2016年1月18日) - スーツ、金髪の若者が農業を変える!
(2016年1月25日) - 外部との連携で生まれた新製品
(2016年2月1日) - 世界に広がる爪切り
(2016年2月8日)
1956年東京都生まれ。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)で経営者・経営幹部を対象にマネジメント研修を行う中小企業大学校校長を経て、ビジネスマッチングイベント「新価値創造展」の開催や販路開拓プラットフォーム「Rincrossing」の運営などを通じ、地域中小企業の販路開拓支援に携わっている。
【中小機構 HP】