飛躍の源泉

経営資源の集中で新市場創造

(独)中小機構
販路支援部
柿沼 文彦 氏

鮮度が落ちないヤマサ醤油の「鮮度の一滴」の容器開発で注目を浴びる企業が、新潟県三条市の株式会社悠心だ。中小機構の販路支援先でもある、ファブレス(工場を持たない)メーカーの同社。フィルム容器メーカーを経て独立した代表取締役社長の二瀬克規氏は、日本の食に欠かせないしょうゆに着目し、特殊なフィルム弁により空気の侵入を防ぐ「パウチ・イン・ディスペンサー(PID)」容器と充填装置を商品化した。

これがヤマサに採用され、「鮮度の一滴」はヒット商品となる。その後、顧客との信頼関係を築きながら、用途とともに取引拡大を進めるそのビジネスモデルには、いくつかのヒントをみることができる。1点は、容器と充填機を一貫して提案するユニット販売とメンテナンス需要による利益化。もう1点は、ファブレスの強みを生かした、新たなニーズ、トレンドへのスピーディな対応である。

現在、地方にいながら積極的に情報を発信し、次の市場の調査につながる営業を自ら担う二瀬氏は「ベンチャー企業もリソース(経営資源)を一点に集中すれば、大手に負けない開発ができる」と言う。PIDは経済産業省の「新市場創造型標準化」のテーマにも決定し、その視線は世界の食卓に向けられている。

2016年2月15日

株式会社悠心 :

新潟県三条市柳川新田964
【株式会社悠心 HP】

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柿沼文彦

1956年東京都生まれ。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)で経営者・経営幹部を対象にマネジメント研修を行う中小企業大学校校長を経て、ビジネスマッチングイベント「新価値創造展」の開催や販路開拓プラットフォーム「Rincrossing」の運営などを通じ、地域中小企業の販路開拓支援に携わっている。
【中小機構 HP】

柿沼文彦