飛躍の源泉

地域から必要とされる

名城大学経済学部特任助手
大前 智文 氏

愛知県碧南市で製粉業を営み、小麦粉・2次加工品を生産・販売する小笠原製粉株式会社。大手による市場の寡占化が進む製粉業界で、即席麺「キリンラーメン」のリバイバルヒットを機に業績を伸ばしている。

1907(明治40)年に創業し、1965(昭和40)年からは西三河地域限定で「キリンラーメン」を生産・販売し、地元では抜群の知名度を誇る。一時は販売不振から生産中止を余儀なくされたが、地元ファンから熱望され、生産・販売を再開。近年はご当地即席麺ブームもあり、口コミでの販路・取引拡大が続いている。 同社専務の小笠原充勇氏は「消耗戦に苦しむなかで地域に助けられた」と話す。地域貢献の思いを込めて、「キリンラーメン」の原材料である小麦、大豆、米は地元の農作物を使用している。また、「楽しい食卓の提案」を基本コンセプトに据え、廉価販売や積極的な営業活動は行っていない。

地元生産者との取引・協力、商品の適価販売という取り組みは、県産小麦の品質向上、小麦粉・2次加工品の生産拡大という好循環をもたらしている。同社はこれらの成功体験をきっかけに、県産・国産小麦粉流通のアイデアメーカーとして、地域から必要とされ、地域とともに歩む製粉企業への成長を目指す。

2015年5月25日

小笠原製粉株式会社 :

愛知県碧南市汐田町3-33
【小笠原製粉株式会社 HP】

過去記事一覧

1982年愛知県生まれ。
2013年に名城大学経済学部特任助手に就任。同年より日本中小企業学会幹事。駆け出しの研究者としてフィールドワークを重ね、中小企業に関する調査・研究に取り組む。

大前智文