飛躍の源泉

ライバルとの連携で飛躍

立教大学経済学部教授(金融論)
山口 義行 氏

静岡県伊豆の国市で生コンを製造販売する有限会社長岡生コンクリート。商圏が狭く閉塞感に満ちた業界に“新風”を吹き込み、革新に挑んでいるのが同社専務の宮本充也氏だ。生コン会社はコンクリートが固まらない移動範囲でしか営業できず、地域の中で組合が仕事を割り振っている。このため、地域経済が落ち込めば共倒れになる。同社も宮本氏の入社当時、「不渡り」の瀬戸際にあったという。

宮本氏は、駐車場や道路などに使われる水はけの良い「透水性コンクリート」の販売を始めた。だが、地元で作って全国へ運ぶことはできない。そこで売り先近くの生コン会社に製造を依頼。当初は全く相手にしてもらえなかったが、必死に駆け回って全国の生コン会社とのつながりを築いていった。

そうして結成したのが、GNN「元気な生コンネットワーク」。本来はライバルである同業者と連携し、情報発信力や情報収集力、そして資金力をも高めて共に新しい未来をつくる。この画期的な組織は5社から始まり、今や70社以上に成長。単独では難しい海外企業との連携も実現し、固まっても再利用できる「再生生コン」の開発など、革新に挑み続ける。「夢をもてる生コン業界にしたい」。その想いが、“ 業界の革命児”宮本氏の原動力である。

2015年4月6日

有限会社長岡生コンクリート:

静岡県伊豆の国市長岡781
【有限会社長岡生コンクリートHP】

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1951年愛知県生まれ。
2001年に立教大学経済学部教授に就任。外務省参与として中小企業の海外展開、 関東経済産業局「新連携支援」政策の事業評価委員長として中小企業連携支援にかかわるほか、企業経営者との勉強会を全国で開催するなど、自ら中小企業支援を積極的に展開。
【山口義行・公式HP】

山口義行