養豚経営のあり方を模索
名城大学経済学部特任助手
大前 智文 氏
大前 智文 氏
愛知県半田市で養豚業を営む有限会社石川養豚場。独自のブランド豚「あいぽーく」の繁殖・肥育一貫経営に加え、食肉の卸・小売り、ハム・ソーセージの製造・卸・小売り、飲食事業などを展開、厳しさが増す養豚業界で堅調な業績を上げる。代表の石川安俊氏は一心に「おいしい豚肉」の飼育・生産にこだわる。
会社設立は1982(昭和57)年。生産性・収益性の向上と、部位ごとの需要や価格のばらつき、廃棄ロスといった経営課題を克服するため、長年温めてきた「豚一頭まるごと売る」体制の構築に挑戦。試行錯誤の末に新規取引先の開拓に成功し、事業は軌道に乗った。
転機は2000年。自前の加工・販売部門を立ち上げることにより、養豚業の経営安定と規模拡大を志向した。ここでも多くの困難に直面したが、家族・仲間・取引先の協力に支えられ、顧客の「おいしい」という声に励まされた。現在では、直売店「ファーマーズ・マーケット ブリオ」は大繁盛。農場生産量のうち直売が約6割を超えるまでに成長し、養豚業の経営基盤を支える。
今後、TPPにより養豚業の経営環境は一層厳しくなることが予想される。「おいしい豚肉を提供する」ことができる持続可能な養豚経営のあり方とは何か、模索と挑戦が続く。
2015年8月10日
有限会社石川養豚場 :
愛知県半田市吉田町4-173
【有限会社石川養豚場 HP】
- ライバルとの連携で飛躍
(2015年4月6日) - 人とつながる「縁」農活動
(2015年4月13日) - 「夢」をスタートさせるビジネス
(2015年4月20日) - 「食事の楽しさ」をデザイン
(2015年4月27日) - 事業連携の第一歩は気づきと想像力
(2015年5月4日) - 赤レンガ復元をブランドに
(2015年5月11日) - ブランド創りのカギは「やせがまん」
(2015年5月18日) - 地域から必要とされる
(2015年5月25日) - 「選択」の楽しさを提供
(2015年6月1日) - 身近な缶は、実はエコロジー商品
(2015年6月8日) - 日本の住宅産業を変える
(2015年6月15日) - 印刷業から出版の新市場を創造
(2015年6月22日) - 23区唯一の造り酒屋は大人気
(2015年6月29日) - 新規事業は足元から
(2015年7月6日) - 酒造りは良縁を醸すサービス業
(2015年7月13日) - 自前の超精密技術で、新事業展開
(2015年7月20日) - 隣接異業種への挑戦
(2015年7月27日) - がんばれ、日本の鋳物産業
(2015年8月3日)
1982年愛知県生まれ。
2013年に名城大学経済学部特任助手に就任。同年より日本中小企業学会幹事。駆け出しの研究者としてフィールドワークを重ね、中小企業に関する調査・研究に取り組む。