飛躍の源泉

ロボット技術で自立への道

神戸国際大学経済学部教授
中村 智彦 氏

フラワー戦隊ナガレンジャー。このちょっと不思議なロボットは、山形県長井市の中小企業経営者たちが生み出した。企業城下町だった長井市から、「城主」たる大企業が撤退へ舵を切り、残された中小製造企業は否応なく、独立・自立の道を歩まざるを得なかった。

そんな経営者たちが選んだ道は、地域の中小企業同士、さらに人材を生み出す長井工業高校との連携。「まずはみんなが楽しんで参加できるものを」という考えのもと、二足歩行ロボットを開発し、ロボット競技会「ロボワン」への参戦を目指した。中心となったのが、株式会社昌和製作所の代表取締役社長、小関博資氏。ロボットには金属加工、部品製造、組み立て、さらには電気電子技術、制御技術など、次世代のものづくりに求められる要素が詰まっている。「ロボット開発を通じて、全国や海外の大学、企業の研究者などとのネットワークが構築されてきた」と小関氏は言う。

ロボットシティ「長井」の名は、多くの人に知られるようになった。地元の製造企業は、ロボット開発から得た知見を生かして、他にはない加工技術や開発力を身につけてきた。昌和製作所も、医療機器分野への進出などを果たしている。ナガレンジャーのフィールドは、東北から世界に広がっている。

2015年12月14日

株式会社 昌和製作所 :

山形県長井市九野本449
【株式会社 昌和製作所 HP】

フラワー戦隊ナガレンジャー :
【フラワー戦隊ナガレンジャーの日々】

過去記事一覧

1964年生まれ。
大阪府立産業開発研究所などを経て2007年から神戸国際大学経済学部教授。専門である中小企業論・地域経済論では、現地での調査・研究を重視。中小企業間のネットワーク構築や地域経済振興プロジェクトにも数多く参画している。
【凡才中村教授の憂鬱HP】

中村智彦