未来の糧の種をまく
名城大学経済学部特任助手
大前 智文 氏
大前 智文 氏
岐阜県中津川市に立地し、主に電機・自動車向けプレス板金部品を生産する株式会社加藤製作所。高度な技術を要する液圧プレスによる深絞り加工、航空機産業への新規参入、そして高齢者雇用に積極的な企業として多方面から注目を集める。
同社は1888(明治21)年に創業し、金属加工の技術を磨いて1955(昭和30)年からは主要取引先の協力工場として活躍。しかし、円高による取引先の海外移転、度重なるコストダウン要請への対応を迫られた。代表取締役社長の加藤景司氏は地元中津川での事業継続を決断し、経営革新に取り組んだ。
液圧プレス加工の技術力強化に加え、新規取引先の開拓に注力。量産から多品種小ロットの生産・取引へ切り替えた。また、工場の365日稼働と人件費の抑制を目的に高齢者雇用を推進。「意欲のある人、求めます。ただし、60歳以上」のフレーズは反響を呼んだ。
これまでにまいた種が芽を出し始めている。技術と品質が認められ、ボーイング787、MRJの主翼部品の生産に参画。また、高齢者雇用が奏功し、社内環境の改善や技術の継承が進んでいる。加藤氏は「今はまだ産みの苦しみの最中」と話し、オンリーワン企業となるための試行錯誤を重ねる。
2015年12月28日
株式会社加藤製作所 :
岐阜県中津川市駒場447-5
【株式会社加藤製作所 HP】
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(2015年12月21日)
1982年愛知県生まれ。
2013年に名城大学経済学部特任助手に就任。同年より日本中小企業学会幹事。駆け出しの研究者としてフィールドワークを重ね、中小企業に関する調査・研究に取り組む。