継承した技術を世界に発信
東京経済大学経営学部准教授
山本 聡 氏
山本 聡 氏
茨城県常陸大宮市に生産拠点を置く株式会社野上技研。超精密な打ち抜き金型や治具の設計・製造、精密プレス加工などを行う。その研削技術は、平行や直角に加工する際の精度が1万分の5㎜という、他の追随を許さないもので、大手メーカーも評価する。
2代目の現代表取締役社長、野上良太氏は同社入社後、「先代社長である父の持つ研削技術は日本トップ級だが、知られなければ存在しないのと同じ」と考え、取引の多角化を強く志向するようになった。より広い世界を目指して海外市場参入も企図。台湾、次いでドイツ企業との取引に挑戦した。野上氏には「ドイツの企業は野上技研の『日本で実績のある本当によい部品や金型』を適切に評価してくれる」という判断があった。
その結果、同社はドイツに営業体制を有し、ドイツの協力企業との関係も深めながら、著名自動車企業や電池企業と取引を始めた。
野上氏が目標とする企業はオーストリアのある研削砥石企業。野上技研はその会社の砥石を30年も使い続けている。価格は高く、納期が遅いなどいい条件の取引ではないが、それでも「その砥石がないと、いい仕事ができないから」と野上氏。他社からそう思われる会社になることが、野上氏の夢だ。
2016年4月4日
株式会社野上技研 :
東京都目黒区目黒本町5-9-3
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(2016年3月28日)
1978年生まれ。
機械振興協会経済研究所を経て、2012年東京経済大学経営学部専任講師として着任、2015年准教授(担当は中小企業経営論)。金型や部品加工など素形材産業を主な対象としながら、国内外の中小企業の経営体制の変化を解明することが研究テーマ。経営者や技術者向けにレポートを執筆するほか、さまざまなセミナー講師も務める。
【山本聡の研究室】