職人が生み出す美しい栓抜き
神戸国際大学経済学部教授
中村 智彦 氏
中村 智彦 氏
日本の伝統的な意匠を生かした栓抜きや、ボードゲーム。金属で作られたそれらの製品は、京都の町工場の職人技が生み出した。「使い込むと、色が変わったり、傷がついたりと、風合いが変わっていくのを楽しんでもらえれば」。1969(昭和44)年創業で、精密機械部品などの製造加工を行う協和精工株式会社の専務取締役、山下正起氏は話す。
自社ブランド製品が欲しいという中小企業経営者は多い。しかし、実際には難しい。そんな中、「自分たちならではのものづくりをしたい」と若い後継者のアイデアが形になったのが、雑貨ブランド『teyney』の立ち上げだ。協和精工が得意とするのは、金属の加工だ。職人技により、「丁寧」に作り込んだものを消費者に届けてみたいという思いから、ブランド名を決めたのだという。
栓抜きを手に取ってみる。欄間(らんま)などを思い起こさせる模様が美しい。日本の産業を支える金属加工技術と、伝統のデザインが融合されて、新しい製品が生まれている。高い品質を求められる医療・産業装置を扱ってきただけにもともと技術力は高い。しかし、販路開拓や情報発信など、町工場にとって未知の試みが待ち構える。若い経営者の新しい挑戦が成功するかどうか、楽しみだ。
2016年7月25日
協和精工株式会社 :
京都府京都市伏見区久我西出町8番地8
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(2016年7月18日)
1964年生まれ。
大阪府立産業開発研究所などを経て2007年から神戸国際大学経済学部教授。専門である中小企業論・地域経済論では、現地での調査・研究を重視。中小企業間のネットワーク構築や地域経済振興プロジェクトにも数多く参画している。
【凡才中村教授の憂鬱HP】