飛躍の源泉

顧客とともに日本の壁を楽しく飾る

名城大学経済学部特任助手
大前 智文 氏

岐阜県山県市で住宅・家具用木製部品、インテリア用額縁を製造・販売する山田木管工業所。ネットショップ「岐阜の木工屋」を展開し、オリジナル商品の「手ぬぐい額」などの販売で業績を伸ばしている。

紡績用木管を製造する木工所として、1951(昭和26)年に創業。その後、照明器具の木製部品、内装ドアの飾り額縁、家具用扉など住宅設備関連の木工製品を製造。しかし、2000年代半ば、取引先の倒産や内製化により廃業を意識するまでに追い込まれた。

代表の山田等氏は脱下請けを志向し、2009年に岐阜県と楽天株式会社が包括連携協定を締結したのを契機として、ネット販売のためのオリジナル商品開発に全力を注いだ。

試行錯誤の結果、既存の機械設備・原材料を活用した「手ぬぐい額」の商品化に成功。手ぬぐいを飾るという新感覚のインテリアは徐々に注目を集め、製品販売数は順調に増加。続けて、「ユニフォーム額」や「御朱印帳額」などの新商品も開発し、ネット販売事業は同社の屋台骨を支えるまでに成長した。

山田氏は苦しい時期を振り返り、経営理念の大切さを実感する。「これからも前を向き、従業員と想いを共有し、顧客と楽しさを共有したい」と決意を強めている。

2016年6月13日

山田木管工業所 :

岐阜県山県市佐賀159-1-1
【山田木管工業所 HP】

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大前智文

1982年愛知県生まれ。
2013年に名城大学経済学部特任助手に就任。同年より日本中小企業学会幹事。駆け出しの研究者としてフィールドワークを重ね、中小企業に関する調査・研究に取り組む。

大前智文