飛躍の源泉

琥珀色への想い

明治大学経営学部教授(中小企業研究)
岡田浩一 氏

江戸時代の創業で、1922(大正11)年に法人化、1992年に現在の社名になった福岡県朝倉市の株式会社篠崎がつくる「朝倉」は長期樽熟成の「麦焼酎」である。

美しい琥珀色をしたこの「朝倉」、実は酒税法上は麦焼酎ではなく、リキュール。というのも、現行法上は、焼酎に色味(吸光度)の制限があり、「朝倉」を焼酎として出すためには、ろ過して琥珀色を薄めなければならないからである。

しかし、ろ過すると、せっかくの香りや味わいが損なわれる。「樽貯蔵本来の味と香りの感動を味わってほしい」と考えた代表取締役社長、篠崎博之氏の想いが、あえてリキュールに分類されても良いという決断を促し、世に出すことになった。

アルコール度数も40度と高めだが、その色、香りともに、酒好きをうならせる味わいと、雰囲気を醸し出してくれる逸品である。

ほかにも、地産池消にこだわり、「甘旨口」と「淡麗辛口」を好みに合わせて選べる日本酒の新ブランド「比良松」をはじめ、日本酒、焼酎、甘酒、リキュールと多くの酒類・飲料を製造している同社。「麹を使った商品で社会貢献する」という社是のもと、ヒット商品やロングセラーの商品を提供し続けている。

2016年7月4日

株式会社篠崎 :

福岡県朝倉市比良松185
【株式会社篠崎 HP】

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プロフィール 岡田浩一

1962年新潟県生まれ。
2001年に明治大学経営学部教授に就任。専門分野は中小企業経営論。ロンドン大学ロイヤルホロウェイ客員研究員、日本中小企業学会理事、中小企業IT経営力大賞選考作業部会長、攻めのIT経営中小企業百選選定委員長。主な著書に「中小企業のIT経営論」など。

岡田浩一