飛躍の源泉

伝統と革新の和合が生む新たな世界

名城大学経済学部特任助手
大前 智文 氏

岐阜県岐阜市で節句人形の製造・卸・販売を営む株式会社後藤人形。「ゴスロリ」や「ウエディング」などをテーマに、自由で現代的な発想、デザイン、提案に基づく創作ひな人形の先駆者として話題を集めている。

創業は1945(昭和20)年、地元にまつわる鵜飼の「鵜匠」や民謡「おばば」をモチーフにした人形などの製造・卸を経て、節句人形に注力。しかし、1990年代の「バブル崩壊」以降は売り上げ不振が続いた。

転機が訪れたのは2000年ごろ。現専務取締役の後藤通昭氏と節句人形工芸士の後藤由香子氏が事業に加わり、「現代人が心から楽しめるひな人形」を模索。縁起物の業界慣習からの脱却を図るとともに、創作ひな人形製造の新たな分業・取引体制の構築に奔走した。試行錯誤の末、2003年に第1弾が完成。それ以降も毎年、新作を作り続けてきた。新たなひな人形の世界は徐々に注目を集め、2016年にはメディアに大きく取り上げられた。

「ひな祭りの楽しさを再認識するきっかけになればと、楽しく、前向きに取り組んでいる」と通昭氏。「日本古来の伝統や文化と現代の美意識や生活様式を和合させ、次代につなげていきたい」と由香子氏。たおやかさと大胆さを兼ね備えた挑戦が続く。

2016年8月15日

株式会社後藤人形 :

岐阜市大柳町2-33
【株式会社後藤人形 HP】

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大前智文

1982年愛知県生まれ。
2013年に名城大学経済学部特任助手に就任。同年より日本中小企業学会幹事。駆け出しの研究者としてフィールドワークを重ね、中小企業に関する調査・研究に取り組む。

大前智文