飛躍の源泉

海外市場を先行して開拓

東京経済大学経営学部准教授
山本 聡 氏

現代表取締役社長の梅津卓式(たくじ)氏が1965(昭和40)年に創業した大阪府富田林市の理光フロートテクノロジー株式会社は、フロート専業メーカーとして世界でも有数の存在。創業当初はゴム製品商社だったが、ほどなく工業用フロートを生産するようになる。

工業用フロートとは、燃料タンク内のガソリンなどの液体量を検知する「浮き部材」のこと。同社は石油ストーブ用のゴム製フロートの生産で事業のきっかけをつかみ、1980年代半ばにはフロートの液面検知技術を利用したフロート式レベルスイッチの開発に成功し、製造に着手した。

そんな同社の経営上の最大の特徴は、海外市場開拓に対する旺盛な意欲。当初は国内大手企業との取引を目指したが、一顧もされなかったため、梅津氏は海外に視線を向け1980年代前半、従業員数20~30人の小規模企業だったにもかかわらず、アメリカ企業との取引を開始。最初は機械商社が仲介する間接輸出だったが、数年で直接輸出に移行した。その後も、フランスやイタリア、インド、ドイツの企業との取引を立て続けに実現。それが呼び水になり、日本の大手企業との取引もスタートした。

国内の中小企業としては他にあまり例がない驚嘆すべき歴史といえる。

2017年9月19日

理光フロートテクノロジー株式会社 :

大阪府富田林市中野町東2-2-52 富田林中小企業工業団地
【理光フロートテクノロジー株式会社 HP】

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山本聡

1978年生まれ。
機械振興協会経済研究所を経て、2012年東京経済大学経営学部専任講師として着任、2015年准教授(担当は中小企業経営論)。金型や部品加工など素形材産業を主な対象としながら、国内外の中小企業の経営体制の変化を解明することが研究テーマ。経営者や技術者向けにレポートを執筆するほか、さまざまなセミナー講師も務める。
【山本聡の研究室】

山本聡