飛躍の源泉

空室ゼロを実現する不動産会社

立教大学名誉教授
山口 義行 氏

貸家の建設が8年ぶりともいわれる高水準を記録する一方、首都圏の一部ではアパート空室率が35%前後に達するなど、「空室」が社会問題になっている。そんな中、空室を抱える物件を数カ月で満室にすることで急成長している企業がある。愛知県名古屋市の株式会社不二興産。問題物件を買い取り、再生した後で新しい投資家に売却する。

しかし、社会問題化している空室をどう埋めるのか―「『特別なこと』は何もしない」と、代表取締役の猪子能史氏。その地域のニーズを詳細に調べ、満たされていないニーズを満たす物件に再生するだけ。「ペット不可」を「ペット可」にするだけで、約半数の空室が満室になるケースもあるという。

他にも、不動産仲介店へのあいさつまわりや賃貸物件サイトのチェックをこまめに続けるなど、地道に「やるべきことをきちんとやる」ことが、「空室ゼロ」への近道。なぜなら、「大家の中で不動産賃貸を本業とする専門家は3割程しかいないから」と猪子氏は言う。空室問題の背景には、そんな事情もある。

人の悩みに寄り添って問題を解決し、結果として社会問題の解決にも貢献する。そんな「ソリューション(解決)ビジネス」も、中小企業に求められているもののひとつだろう。

2017年7月3日

株式会社不二興産 :

愛知県名古屋市西区南川町227
【株式会社不二興産 HP】

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山口義行(やまぐちよしゆき)氏

1951年愛知県生まれ。
2001年に立教大学経済学部教授に就任。2017年4月から名誉教授。外務省参与として中小企業の海外展開、関東経済産業局「新連携支援」政策の事業評価委員長として中小企業連携支援にかかわるほか、企業経営者との勉強会を全国で開催するなど、自ら中小企業支援を積極的に展開。
【山口義行・公式HP】

山口義行氏