飛躍の源泉

チタン加工技術で世界へ

東京経済大学経営学部准教授
山本 聡 氏

「創業以来、チタン一筋」を標榜している株式会社東京チタニウム(埼玉県さいたま市)。1982(昭和57)年に現会長の小澤日出行氏がチタン専門業者として創立した。当初はチタン材料と加工製品を販売していたが、徐々に設備を増やし、今では微細溶接加工、溶接加工、切断、機械加工といったチタンに関する様々なものづくりを展開している。

同社は医療機器、食品産業機器、海洋開発、航空宇宙産業、ロボット産業の5つの開発テーマを設定し、研究開発と事業化を試み続けているが、とりわけ医療機器に関しては、医療機器製造業許可や第一種医療機器製造販売業許可、ISO13485(医療機器の品質保証のための国際標準規格)を取得し、チタン製の人工股関節の開発も行った。

近年は、さいたま市産業創造財団やJETRO(日本貿易振興機構)の支援を活用し、海外輸出にも傾注。チタンに関する国内市場の規模は上限があり、海外市場だからこそビジネスとして成立すると考えられる案件は多い。同社は海外市場向けのウェブサイトを立ち上げたほか、2013年に米国の医療機器展示会MD&Mに出展したのを皮切りに、ドイツやシンガポールの展示会にも参加。自社のチタン加工品のグローバル化を目指している。

2017年3月27日

株式会社東京チタニウム :

埼玉県さいたま市岩槻区古ヶ場2-3-10
【株式会社東京チタニウム HP】

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山本聡

1978年生まれ。
機械振興協会経済研究所を経て、2012年東京経済大学経営学部専任講師として着任、2015年准教授(担当は中小企業経営論)。金型や部品加工など素形材産業を主な対象としながら、国内外の中小企業の経営体制の変化を解明することが研究テーマ。経営者や技術者向けにレポートを執筆するほか、さまざまなセミナー講師も務める。
【山本聡の研究室】

山本聡