飛躍の源泉

切断機のプロフェッショナル

東京経済大学経営学部准教授
山本 聡 氏

埼玉県蕨(わらび)市の株式会社荻野精機製作所は1960(昭和35)年創業の自動切断機メーカー。「Super Cutter(スーパーカッター)」の異名を持ち、新素材や複合材料など様々なものを切断する機械を開発している。

現在では押切りタイプ(テーブル送りとロール送り)、はさみのように剪断(せんだん)するシャータイプ(ロール送り)、刃が回転しながら高速切断するロータリータイプ(ロール送り)の各カット方式の切断機を製造している。

その特徴は切断対象とする素材の幅広さ。ゴムをはじめ、有機EL(発光素材)や偏光板、多機能フィルム、紙・布、食材、樹脂まで対象が拡大。切断は奥が深い。ある素材を切断する際は「どのような切断面にして、どのような機能を付与するのか」を考える必要がある。たとえば、消しゴムの切断面には「ケースにするっと入るが、持ち上げてもケースから外れない」といった機能がなければいけない。

同社では個々の顧客の要望をくみ取りながら、切断機をオーダーメードで製造。そのため、多くの工作機械を有し、熟練技術者が切断機の重要部品を1個1個内製している。創業以来、様々な業種の企業4,000社を顧客とし、2010年には中国江蘇省常州市に現地法人を設立するなど、国際化も進めている。

2017年1月4日

株式会社荻野精機製作所 :

埼玉県蕨市北町3-7-19
【株式会社荻野精機製作所 HP】

過去記事一覧

山本聡

1978年生まれ。
機械振興協会経済研究所を経て、2012年東京経済大学経営学部専任講師として着任、2015年准教授(担当は中小企業経営論)。金型や部品加工など素形材産業を主な対象としながら、国内外の中小企業の経営体制の変化を解明することが研究テーマ。経営者や技術者向けにレポートを執筆するほか、さまざまなセミナー講師も務める。
【山本聡の研究室】

山本聡