飛躍の源泉

WEBカメラによるIT経営

明治大学経営学部教授(中小企業研究)
岡田浩一 氏

1919(大正8)年創業、1947(昭和22)年設立の株式会社小林製作所(石川県白山市)は、精密板金・組み立て・塗装を主な事業としている会社。同社の作業場の様子はちょっと変わっている。工場内に数十台のWEBカメラが設置されており、作業の様子を動画として記録しているのだ。働く側からすれば監視されているようで嫌な気分になるかと思いきや逆なのだという。社員はこの仕組みに満足しており、進んで動画を活用して技術を磨き、創意工夫を凝らしている。

万が一、取引先からクレームがあったときは、すぐに保存してある動画を確認し、どこに問題があるのかをチェックして対応することができる。この迅速さは、取引先満足度と信頼度の向上につながっている。もちろんカメラが設置されているのは機械がある作業場だけであり、機械から離れれば映ることはなく、息抜きできる場はたっぷりとある。

目的は監視ではなく、「会社の発展と社員一人ひとりの幸せを追求し続ける日本一の板金塗装企業を目指す」「コンピュータの有効活用によって一人ひとりを活かし、一人ひとりをつなごう」という経営理念の実現にある。同社の取組みは、WEBカメラの仕組みを用いたIT経営の成功例といえるだろう。

2016年11月7日

株式会社小林製作所 :

石川県白山市水島町429-17
【株式会社小林製作所 HP】

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プロフィール 岡田浩一

1962年新潟県生まれ。
2001年に明治大学経営学部教授に就任。専門分野は中小企業経営論。ロンドン大学ロイヤルホロウェイ客員研究員、日本中小企業学会理事、中小企業IT経営力大賞選考作業部会長、攻めのIT経営中小企業百選選定委員長。主な著書に「中小企業のIT経営論」など。

岡田浩一