飛躍の源泉

「和食」の文化と健康を守る

名城大学経済学部特任助手
大前 智文 氏

愛知県豊橋市に立地し、業務用の種麹(こうじ)、酵母菌、乳酸菌、健康食品の製造・販売を営む株式会社ビオック。室町時代創業の種麹業界宗家とされる「糀屋三左衛門」を継承し、600年以上の歴史と伝統を有する老舗企業である。日本酒、焼酎、みそ、しょうゆ用の主要な種麹で4割以上の販売シェアを占め、全国の醸造業者約4,000社と取引関係を結ぶ。「和食」に欠かすことのできない麹菌・微生物の専門企業として、新たな可能性に挑戦し続けている。

1992年、「糀屋三左衛門」としての種麹製造・販売だけでなく、微生物全般の先端研究・開発に注力するために株式会社ビオックを設立。第2工場を新設するとともに、健康食品分野に進出した。近年では、しょうゆ醸造の過程で発生する「搾りかす」を減少させるなどの新たな機能を有する麹菌や、新しい食材を使った麹の開発に次々に成功。研究・開発型企業として着実に成果をあげている。

29代目当主にあたる代表取締役社長の村井裕一郎氏は「何を残し、何を変えるか、経営判断には重責が伴う」と老舗企業の歴史と伝統を受け止めつつ、「微生物の専門企業として、その可能性と有用性を広めていきたい」と話し、数百年先までを見据えた成長を志す。

2016年11月21日

株式会社ビオック :

愛知県豊橋市牟呂町内田111-1
【株式会社ビオック HP】

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大前智文

1982年愛知県生まれ。
2013年に名城大学経済学部特任助手に就任。同年より日本中小企業学会幹事。駆け出しの研究者としてフィールドワークを重ね、中小企業に関する調査・研究に取り組む。

大前智文