飛躍の源泉

女性活躍は企業変革のカギ

立教大学経済学部教授(金融論)
山口 義行 氏

今なぜ、ダイバーシティー(多様性)推進、女性活躍推進が重要とされているのか。その答えのひとつが、愛知県で海上コンテナの輸送をしている桜運輸株式会社だ。同社は人手不足の問題を抱えているうえに、ドライバーの多くは50代以上の中高年男性に偏っていた。

問題を改善すべく、代表取締役の細江良枝氏が立ち上げたのが「木桜咲弥(このはなさくや)」という女性支援プロジェクト。同名のHPを開設し、「さくらだより」というコーナーで女性ドライバーの働きぶりを公開。また、環境の改善も徹底した。女性用の制服やトイレを新設したほか、港で借りられるトイレについてもトラック協会から各所に協力を要請してもらった。セクハラ問題についても勉強会を何度も開催し、女性ドライバーが1人の時には到着が夜中にならないよう配車に工夫するなど安全面でも配慮した。

現在、女性ドライバーも増加し、全車100%稼動が可能になった。さらに社内にビジネスマインドが浸透。顧客からの評価が向上して、事故率も減少し、年間で支払うトラックの保険料は、以前の3分の1にまで減った。

女性の活用。それは会社を変革するためのひとつのカギとなるだろう。

2016年11月28日

桜運輸株式会社 :

愛知県弥富市東末広9-51
【桜運輸株式会社 HP】

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山口義行(やまぐちよしゆき)氏

1951年愛知県生まれ。
2001年に立教大学経済学部教授に就任。外務省参与として中小企業の海外展開、関東経済産業局「新連携支援」政策の事業評価委員長として中小企業連携支援にかかわるほか、企業経営者との勉強会を全国で開催するなど、自ら中小企業支援を積極的に展開。
【山口義行・公式HP】

山口義行氏