飛躍の源泉

里山の未来

明治大学経営学部教授(中小企業研究)
岡田浩一 氏

1930(昭和5)年創業の株式会社相田合同工場(新潟県三条市)は鍬(くわ)などの農具、園芸具の製造・販売を行う会社である。ひとくくりで鍬といっても、全国的にみると、地域ごとにその形や長さが違っているが、相田合同工場では全国ほぼすべての種類の「鍬」に対応している。

また、長年農具を使っていると刃が丸まってなくなってしまったり、刃こぼれを起こしたりしてしまう。農業従事者にとって、長年使い込んで手になじんだ農具の修理もしてくれる相田合同工場は大切な会社である。

とはいえ、農業人口の減少、機械化、海外からの廉価な農具の流入などによって国内農具生産企業はその数を減らしてきている。

そうした状況の中、同社は家庭菜園や市民農園といった需要の高まりに注目して製造・販売に力を入れている。家庭菜園、市民農園などに取り組みたいとしている人々の農具への潜在的なニーズは、既存の農業従事者以上の規模が見込まれるとされる。

「職人の技で里山の暮らしを未来につなげる」を企業理念として、こうした非農業従事者の潜在的需要の掘り起こしと、動画などを活用したわかりやすい製品説明の方法を開発して、新たな市場開拓にも力を入れている。

2016年12月19日

株式会社相田合同工場 :

新潟県三条市田島1丁目7番地4号
【株式会社相田合同工場 HP】

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プロフィール 岡田浩一

1962年新潟県生まれ。
2001年に明治大学経営学部教授に就任。専門分野は中小企業経営論。ロンドン大学ロイヤルホロウェイ客員研究員、日本中小企業学会理事、中小企業IT経営力大賞選考作業部会長、攻めのIT経営中小企業百選選定委員長。主な著書に「中小企業のIT経営論」など。

岡田浩一