飛躍の源泉

正直な商売で事業拡大

明治大学経営学部教授(中小企業研究)
岡田浩一 氏

株式会社トーヨーは、衣料品卸問屋の集積地である東京都中央区日本橋横山町で、婦人向け衣料品を扱う現金問屋である。明治後期に長野県から上京した創業者が始めた金物店に端を発し、1942(昭和17)年に寝具問屋へ転身。さらに戦後、総合衣料をメーンとした事業展開に変わり、今日につながっている。

現在は「オシャレをしたいが、あまりお金をかけたくない」という婦人層をターゲットにした品ぞろえの卸売りで事業を拡大。取引先は全国のショッピングモール内店舗や量販店、商店街の婦人服専門店で、現金問屋の強みである低価格卸を実現している。

ネット市場の拡大で、衣料品をめぐる卸・小売りの環境が大きく変わってきている中、ネット販売に適さない回転率の高い衣料品を扱うことが、一種の差異化となっている。

社長自ら海外へ仕入れに出かけ、婦人層に喜ばれるファッション性に富んだ衣料品を、リーズナブルな価格帯で販売できるよう努めている。論語の「人の生くるや直し。これをしいて生くるや、幸いにして免がるるなり(人がこの世に生かされているのは、まっすぐに生きているから。曲がって生きている人はたまたま免れているだけだ)」を座右の銘に、掛け値なしの正直な経営に努めている。

2017年3月13日

株式会社トーヨー :

東京都中央区日本橋横山町6-13
【株式会社トーヨー HP】

過去記事一覧

プロフィール 岡田浩一

1962年新潟県生まれ。
2001年に明治大学経営学部教授に就任。専門分野は中小企業経営論。ロンドン大学ロイヤルホロウェイ客員研究員、日本中小企業学会理事、中小企業IT経営力大賞選考作業部会長、攻めのIT経営中小企業百選選定委員長。主な著書に「中小企業のIT経営論」など。

岡田浩一