飛躍の源泉

メーカーへの転身で危機脱却

東京経済大学経営学部准教授
山本 聡 氏

神奈川県相模原市の永進テクノ株式会社は自社製品である「エコイット」により、「脱下請け」を図った企業として知られる。

創業は1974(昭和49)年、大手重工業メーカーの下請けとして設備の製造を担っていた。1990年代半ばからはロボット事業を展開。それを拡大させることによって2008年9月期には売上高を約10億円に伸ばした。

だが、前後して転換点が到来する。リーマンショックである。2009年9月期には売上高が前年の約4分の1まで激減。危機を乗り越えようと、同社はメーカーになることを強く企図する。その立役者が、「エコイット」である。

エコイットは、クーラントタンク(工作機械の中で冷却液などを受け止めるタンク)を清浄する装置で、クーラントタンク表面の油をポンプを使って吸い込むものと、クーラントタンク内の金属くずなどを掃除するものの2種類があり、他社製品に比べてメンテナンスが容易など様々な利点を有する。

当初は代表取締役社長の鈴木道雄氏が飛び込み営業に行っても相手にされなかったが、相模原市の支援で出展した航空宇宙の大規模な展示会で一躍脚光を浴びた。その後、エコイットは販売店を獲得し、テレビ番組でも紹介され、売上規模を拡大させている。

2017年5月29日

永進テクノ株式会社 :

神奈川県相模原市緑区下九沢 1630-2
【永進テクノ株式会社 HP】

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山本聡

1978年生まれ。
機械振興協会経済研究所を経て、2012年東京経済大学経営学部専任講師として着任、2015年准教授(担当は中小企業経営論)。金型や部品加工など素形材産業を主な対象としながら、国内外の中小企業の経営体制の変化を解明することが研究テーマ。経営者や技術者向けにレポートを執筆するほか、さまざまなセミナー講師も務める。
【山本聡の研究室】

山本聡