飛躍の源泉

世界一のスリッターマシンを

東京経済大学経営学部准教授
山本 聡 氏

現代表取締役社長の垣堺(かきざかい)正男氏が1984(昭和59)年に設立した垣堺精機株式会社は、「スリッターマシン」の開発メーカー。スリッターマシンとは、金属などのシート状の素材を縦方向に切りながら、再巻き取りする加工機械。垣堺氏は著名なスリッター技術者から依頼され、「世界一のスリッターマシンを造る」を合言葉に、共同開発に従事した。

その技術者とは袂を分かつことになるが、垣堺氏はその後、油圧技術を用いた独自のHTC巻き取りシステムを開発し、緩みや垂れのない高精度の巻き取りを実現。また、アモルファス(非晶質)金属といった特殊な素材の加工も可能にし、同社製品の競争力を高めていった。

近年は国際化も進めており、タイに現地法人を設立。また、ドイツ企業との交流会に参加し、ドイツの展示会にも出展している。その背景には、垣堺氏の「世界一のスリッターマシンを造るためには、伝統のあるドイツに挑戦しなければならない」、「若い人たちに『世界に通用する』という夢のある仕事を残したい」といった一連の強い想いが存在する。

そうした想いから2016年にはドイツ・ニュルンベルク市に現地事務所も開設し、ドイツでの新規顧客開拓にも傾注している。

2017年7月18日

垣堺精機株式会社 :

埼玉県秩父郡小鹿野町下小鹿野875
【垣堺精機株式会社 HP】

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山本聡

1978年生まれ。
機械振興協会経済研究所を経て、2012年東京経済大学経営学部専任講師として着任、2015年准教授(担当は中小企業経営論)。金型や部品加工など素形材産業を主な対象としながら、国内外の中小企業の経営体制の変化を解明することが研究テーマ。経営者や技術者向けにレポートを執筆するほか、さまざまなセミナー講師も務める。
【山本聡の研究室】

山本聡