飛躍の源泉

伝統の木工技術を生かす

東京経済大学経営学部准教授
山本 聡 氏

マルナオ株式会社(新潟県三条市)の創業者は、仏壇彫刻師だった福田直悦氏。1939(昭和14)年、重要な大工道具のひとつである墨坪車(すみつぼぐるま)の製造をはじめとする木工業として創業した。

現在の代表取締役社長は3代目の福田隆宏氏。幼少時、木工機械が立ち並ぶ工場がお気に入りの場所で、小学生のころから家業の承継を心に決めていた隆宏氏は大手住宅部材会社を経て、2000年にマルナオに入社する。

住宅工法の変化により、今後、大工道具市場が縮小していくことを予見した隆宏氏は、大工道具に代わる新たな主力商品の開発に没頭。木工品にこだわり、ワインラックや時計など試行錯誤を重ねた結果、行き着いた製品が黒檀や紫檀製の「箸」。高度な木工技術に裏打ちされたマルナオの箸は高い評価を受け、東京の大手デパートと契約が成立する。さらに新潟県の国際ブランド・プロジェクト「百年物語」に参画し、フランクフルト、ロンドン、パリ、ミラノなどの展示会にも出展。海外市場にも参入を果たした。

2014年にはオープンファクトリーとショップを併設した新社屋も完成。隆宏氏は「マルナオ商品の収集家」といった新たな顧客層を形成しようと、ブランド強化に取り組む。

2017年11月20日

マルナオ株式会社 :

新潟県三条市矢田1662-1
【マルナオ株式会社 HP】

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山本聡

1978年生まれ。
機械振興協会経済研究所を経て、2012年東京経済大学経営学部専任講師として着任、2015年准教授(担当は中小企業経営論)。金型や部品加工など素形材産業を主な対象としながら、国内外の中小企業の経営体制の変化を解明することが研究テーマ。経営者や技術者向けにレポートを執筆するほか、さまざまなセミナー講師も務める。
【山本聡の研究室】

山本聡