飛躍の源泉

「脱公共工事」の行き先

立教大学名誉教授
山口 義行 氏

新潟県聖籠町の有限会社入山建設は公共工事に依存する典型的な土木会社だった。側溝や縁石の据え付け、ガードレールの設置などを受け持つ。地元自治体から指名入札を受け、順風満帆の成長路線を歩んできた。ところが、国や自治体の財政難で、公共事業が真っ先に削減対象になると、歯車は逆回転、同社の売り上げは2006年からの5年間で7割程度に落ち込んだ。

絶望的とも思える環境の中、代表取締役社長の入山吉幸氏がたどり着いた結論は「新たな受注チャネルの開拓」だった。

入山氏が着目したのは、自動車事故の損害復旧工事。交通事故はガードレールや交通標識、塀や建物などの破損を引き起こす。その修理を損害保険会社からの依頼で請け負うのだ。「これなら今までに培った土木技術をそのまま生かすことができる」入山氏は保険会社と業務委託契約を結ぶべく奔走。おかげで売り上げは急回復。公共工事は全体の4%程度に減少したが、代わって損害復旧工事が8割近くを占めるようになった。「仕事が減ったといっても自分たちの技術が時代遅れになったわけではない。受注チャネルの新規開拓で売り上げ回復は可能だ」

多くの中小企業の社長にこの言葉を贈りたい。

2017年11月13日

有限会社入山建設 :

新潟県北蒲原郡聖籠町大字真野1583
【有限会社入山建設 HP】

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山口義行(やまぐちよしゆき)氏

1951年愛知県生まれ。
2001年に立教大学経済学部教授に就任。2017年4月から名誉教授。外務省参与として中小企業の海外展開、関東経済産業局「新連携支援」政策の事業評価委員長として中小企業連携支援にかかわるほか、企業経営者との勉強会を全国で開催するなど、自ら中小企業支援を積極的に展開。
【山口義行・公式HP】

山口義行氏