飛躍の源泉

「つなぐ力」で売り上げ5倍に

立教大学名誉教授
山口 義行 氏

「つなぐ力」―これは、私が主宰する中小企業サポートネットワーク(スモールサン) で、会員に向けて繰り返してきたキーワードのひとつ。中小企業が時代の変化に機敏に対応するためには、「他社との連携」「他者の知恵の活用」が不可欠であると考えるからだ。

香川県高松市で整骨院を運営する株式会社Expandの代表、溝渕博紀氏はまさにその実践者。23歳の時に立ち上げた整骨院が3年を経たころから業績悪化に見舞われる。背景には法改正や競合他社の出現があった。ピーク時の約6割まで減少した売り上げの回復を目指して、同氏はスモールサンで学んだ「つなぐ力」の発揮に全力を傾ける。その結果、1年で売り上げは約3倍、さらにその2年後には約5倍となった。

溝渕氏が最初に「つなぐ力」を注いだのは介護用品のレンタル会社との連携。介護用品を必要としている家庭には介護を受けている人、介護をしている人がいる。そんな人々こそマッサージを求めている。同社はレンタル会社の紹介でそうした人々への出張マッサージを始めた。さらに美容業界と「連携」。その結果、「美容整体セラピー」へと業容を拡大し、若い女性を顧客に取り込むことに成功した。「つなぐ力」が飛躍を導く―これは真理だ!

2017年11月27日

株式会社Expand(ひかり整骨院) :

香川県高松市国分寺町新居288-8

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山口義行(やまぐちよしゆき)氏

1951年愛知県生まれ。
2001年に立教大学経済学部教授に就任。2017年4月から名誉教授。外務省参与として中小企業の海外展開、関東経済産業局「新連携支援」政策の事業評価委員長として中小企業連携支援にかかわるほか、企業経営者との勉強会を全国で開催するなど、自ら中小企業支援を積極的に展開。
【山口義行・公式HP】

山口義行氏