飛躍の源泉

ベトナムでの事業拡大

東京経済大学経営学部准教授
山本 聡 氏

テレスコカバーやジャバラカバーなどと呼ばれる、工作機械内部に取り付けるカバーの精密板金加工を手がける岐阜県可児市の吉村工業株式会社。近年は、ベトナムで事業を展開し、業容を拡大している。

きっかけは、2004年に2代目の代表取締役社長に就任した吉村崇氏が、労働力不足に直面し、ベトナム人の技能実習生を受け入れたこと。吉村氏は「ベトナム人実習生はまじめで向上心があり、『技術を覚えたい』という気持ちも強い」と感銘。「技能実習が終了する3年間で帰国してしまう彼らともっと一緒に仕事をしたい」と考えるようになった。面接でベトナムを訪問するたびに経済成長を実感したこともあり、2013年にベトナム東北部のバクザン省に工場を設立した。

2016年7月にはベトナムの工作機械の展示会(MTA VIETNAM)にも出展。ブースに予想以上の人だかりができ、問い合わせを受けた。ベトナムには韓国系や台湾系の大規模工場が多く、多数の工作機械が稼働しているため、機械のカバーの故障も多く、修理の注文が舞い込むようになったのである。ベトナムには吉村工業のような精密板金加工技術を有する企業は少なく、現在、ベトナムや東南アジアでのさらなる事業拡大を企図している。

2018年1月4日

吉村工業株式会社 :

岐阜県可児市今541-3
【吉村工業株式会社 HP】

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山本聡

1978年生まれ。
機械振興協会経済研究所を経て、2012年東京経済大学経営学部専任講師として着任、2015年准教授(担当は中小企業経営論)。金型や部品加工など素形材産業を主な対象としながら、国内外の中小企業の経営体制の変化を解明することが研究テーマ。経営者や技術者向けにレポートを執筆するほか、さまざまなセミナー講師も務める。
【山本聡の研究室】

山本聡